ハロゲン化銀微粒子の粒子形成法、化学増感&分光増感する乳剤調製法、
フィルムに塗布する製造法、露光でおこる化学変化(感光機構)、現像で
おこる化学変化(現像機構)に関する基礎知識を網羅した教科書です)。
尚、私は3章8の写真乳剤(p.292~320)を執筆しました。
学位論文は9章から成り、①序論、②従来知見、③イオン伝導度、④光伝導度、
⑤写真圧力効果、⑥明確な層状構造粒子、⑦超高感度カラーネガフィルム、
⑧超硬調画像形成法、⑨総括と展望、から構成されています。
1980年日本写真学会の進歩賞を受賞した研究内容を総説に纏めています。
乾燥乳剤膜に交流電場を加え、粒子分散系の誘電損失測定から粒子の
電気伝導度を計測します。ハロゲン化銀微粒子のイオン伝導は大結晶より
数桁高い。その理由は表面キンク位から格子間銀イオンの生成が起こり、
微粒子の亜表面に格子間銀イオンの過剰層と銀イオン空位の空乏層から
成る空間電荷層が形成されていると結論した。
カラーフィルムの高感度化に寄与した特許(出願人・富士フイルム、
特許第1818914号、特公平03-018695、特開昭60-143331)」
(リンク先に特許番号を入れれば検索できます)。
1997年全国発明表彰の科学技術庁長官発明賞に選定された。ノウハウ
であった乳剤処方から感光理論による乳剤設計に移行させる契機になった。
該粒子は超高感度フィルムに加え汎用フィルムにも採用された。誰でも簡単に写真が撮れる
「写ルンです」の高性能に貢献し、写真の大衆化に寄与したことが受賞理由であった。
1984年に、当時世界最高感度のフジカラーHR-1600を商品化し、
1986年日本写真学会から技術賞を授与された。
その技術に関して、①~②で解説した。
①日化協月報37巻18頁(1984):「超高感度・高画質カラーネガフィルム」
②固体物理21巻11号835頁(1986):「固体物理の応用-高感度フィルム」
その後のカラーフィルムの発展のレビューに関しては、下の二つの解説があります。
③「銀塩写真感光材料の設計 高感度・高画質を支えるハロゲン化銀の進歩」
日本写真学会誌61巻1号3頁
④「銀塩写真の21世紀展望」
日本写真学会誌64巻1号9頁
直接反転乳剤の開発中に偶然見出した
超硬調化現象を印刷製版感材用にドラジン
超硬調画像形成法として確立させた。
(出願人・富士フイルム)
(特許第1334288号、特公昭58-9410、特開昭53-16623)。
迅速簡易処理と高品質画質を両立させるデファクト技術
となり、1991年「ヒドラジン印刷製版用超硬調画像形成法」
として日本写真学会のグラフィックアーツ賞を授与された。
山下氏は誘電損失法を内部構造粒子に発展させた。
日本写真学会誌、76巻6号493頁(2013)
①「ハロゲン化銀微結晶における多価金属不純物のフレンケル欠陥への影響」
日本写真学会誌、77巻4号318頁(2014)
②「誘電損失法によるハロゲン化銀微結晶の空間電荷層の研究(1)
日本写真学会、78巻3号174頁(2015)
③「誘電損失法によるハロゲン化銀微結晶の空間電荷層の研究(2)
表面空間電荷層のPauly-Schwan/Hanai理論による解析」
④ 誘電損失法によるAgI微結晶のイオン伝導度と空間電荷層の研究
⑤ Seiji Yamashita, Naoto Oshima, Shunji Takada, Ken'ichi Kuge,
"Structural Study of the Ionic Conductivity in Double-Structured
Bull. Soc. Photogr. Imag. Japan, 27, 19-25 (2017)
メール : shunji_takada@chiba-u.
HP : http://shunji-takada.jimdo.com/